「来たときよりも奇麗な釣り場」 九州磯釣連盟 北九州支部 海洋磯釣倶楽部 会員のモットである |
海難事故に遭遇しない釣り人の心構え 未来へ継ぐ釣り文化、釣り場美化推進のとき |
ジャパニーズフィッシング文化と釣り場環境美化推進そのアジェンダ 未来へ継ぐ釣り文化、釣り場美化推進のとき |
第八章 海難事故に遭遇しない釣り人の心構え
山口県大津郡川尻岬の荒磯釣りと死亡事故を検証する その 34
会社勤めの私もシニア世代となり、休みが多くもらえるようになったこのごろだが、妻と二人の夫婦釣行が週三回できている。それで久しぶりに山口県川尻岬に釣行してみた。
そのきっかけは先月(10月)下関シャーク店に行ったとき、お店の常連客と話しこんでいたら、川尻岬でヒラゴが大変良く釣れているそうで、大きくて60㎝、40~50㎝クラスが平均サイズだが、けっこう引きが強くて面白いとか。それで私はウキふかせ釣りしかしないのでクロは?
と聞いたら「天気さえ良かったら30㎝クラスが沸き上がってくる」など、釣れる話しを聞いたので早速、釣行準備。それで天気と潮を考えて11月11日、下り中潮、満潮、昼ごろを予定して会社休みをとった。
今日は快晴、少々の風、ゆっくりした気分で早朝5時、行橋市を出発し北九州空港ICより関門自動車道、関門橋を渡り、下関ICで降りて→国道191号の海岸線を安全運転でドライブ。油谷湾を望むころ、川尻、大浦の大きな国道案内板を見て左折し、5分ごろに川尻岬案内板を見て右折し、あとは一本道。
最近は道も立派になり川尻岬駐車場まで行橋から120分ほどで着いた。駐車料金500円をハウスに支払い、釣り場まで山下り。荷物を竿袋とバッカンだけにして東磯に入ると、すでに地方の釣り人がアミカゴ遠投釣りでヒラスを狙っていた。夜明け前に40㎝のヤズが2匹釣れたそうだ。
波のうねりがあり磯場に這い上がってくる荒波は緊張するが、今からの満ち潮は注意する必要がある。ライフジャケットを着用していても安全ではない、ことは十分承知した上で私は、もっとも東側の磯からクロ狙い。仕掛けは遠投できてウキが見やすい、釣研遠投ビック黒鯛1.5号に釣研深層水中-1.5号のセットで30m沖を探ってみた。マキエは沖アミ一角とグレパワーV9プラス、グレパワー遠投をすでに作成してある。それをとにかくド遠投した。ウキ下は半遊動の5mごろから始めたが付エサがそのままなので7m、それでもサシエサが残るので9mにして、やっとアタリ。しかし軽く上がってきた魚はフグ。
隣の釣り人は50mごろの沖でアミカゴ釣り。ヤズが回遊してきたらフカセでも十分釣れるとか。その為にマキエがドンドン入れる方がイイとか。しかし重いマキエをここまで運ぶのはきつい。彼達もオキアミボイル一コだけの安上がりな釣りをしている。午前9時、波からウキが消えたと思ったら、竿引きの大アタリ。もの凄いパワーでリールドラッグから道糸が出ている、ヤズが食ったみたい。06号の竿 を究極までヒン曲げて、やり取りすることもなく一気にのされてハリス1.75号がブチ切れた。隣の釣り人はヤズの60~70㎝が回遊しているのでハリス4号とか!で、今日はそのアタリだけ、クロは釣れずフグに小アジ、カワハギの釣果で納竿した。
山口県川尻岬の荒磯釣りで釣り人の事故を検証する
私達は常日頃より社会のニュース、情報に敏感です。テレビやラジオ、新聞、インターネットから携帯電話まで様々な情報、番組を見て、聞いて、生活をエンジョイしながら豊かな社会で遊べています。そのメディアの中で私達、釣り人が直接関わる海難事故はもっとも関心が高く、気になるところです。
そのような事故に遭遇した釣り人や家族、仲間達を私は何度も見てきました。ただ、その釣り人達とたまたま一緒の釣行でなく、同じ立場の釣り事故に遭遇しなかっただけなのです。
「もし私と一緒に釣りに行っていたら彼達は」とか「私は、どうなっただろう」とか「私も、もしかして!!」等と想いは複雑です。
40数年間、遊びの釣りをしながら仲間達とかファミリーフィッシング、そして釣りクラブや釣り団体のお世話係を楽しんできましたが、たまたま事故に遭遇しなかった安堵感が今の私のハートにあります。
釣り人の海難事故とは
◎たまたまとか ◎巡り会わせとか ◎急に波が這い上がってきて!! ◎滑って転んで ◎つい足を引っ張られて!! ◎身体の調子が!! ◎救命胴衣を着てなかった!! ◎ロープを準備しときゃ良かった ◎仲間から誘われて!! 等々、様々な言い訳をする分けですが、その言い訳ができなかった釣り人、家族の後悔を、あまりにも多く聞くことがあります。
たまたまの偶然が、いくつも重なって、海難事故が起きる
山口県の山陰、向津具半島西北部に「川尻岬」という、磯の王者イシダイが釣れる好場として昭和三十年代から荒磯の猛者が通いつめた釣り場があります。その釣り場は全て地磯で、徒歩で入れる好場です。しかしハードな山越えと磯歩きをする必要があります。ご存知のように釣り人の荷物は多く、重く、大変なんですが、徒歩で入れる有利性と、釣れる!! ことが口コミで伝わり、たくさんの釣り人が押しかけた人気スポットでした。当然、そのような荒磯はメジナ、イサキ、ヤズが回遊し、大物魚がアミカゴ遠投で大変良く釣れた時代です。当時は磯釣りスタイルも大雑把な素人集団と思えるぐらいの釣り人が多く、ライフジャケットとか磯ブーツ、地下足袋を装着するような釣り人は少なく、釣り場においての危険とか事故等に対応する釣り人は少なかった時代です。
そんな「川尻岬」において、バカ波と呼ばれる大きな波が急に磯を這い上がってきて釣り人をカッさらう事故が多発しました。毎年、数名の釣り人が亡くなったり、沖の漁船に救助されたりして、新聞、テレビに大きく報道されることが良くありました。
その釣り場で今年5月、地方の釣り人が突然の大波で足元をすくわれ、海に引きずり込まれました。しかし仲間の釣り人が6mのタモに、つかませ、運良く引き上げ、顔と頭、腕にスリ傷をおうだけの軽微なケガですみました。彼達はライフジャケットを着用していましたが、波が磯を洗う岩場で、懸命に仲間を助ける釣り人も命がけ、とにかくわずか5分ほどの救助劇だったそうです。
おまけに竿や磯バッカンは波に流され、大変な損出とか。でも三人の仲間達が居て良かったと、岬ハウス(駐車場・管理・お店)に通う釣り人のお話しです。そのような事故が今でも年に二~三度、川尻岬で起きています。
安全意識をしっかり考え、装備はもちろん、仲間と必ず一緒に釣行すること。
その上で仲間意識をしっかりもちながら、安全な装備で磯釣りを楽しんでほしいと思います。
最近は磯からのルアーやジギングでヤズ、スズキを狙う若者が増えてきましたから、しっかりした釣りスタイル、安全第一を心掛け、経験の浅い釣り人は、
◎まず磯場に立ったら五分ほど磯の波を観察し、満ち潮ならより大きな波がくる予測をします。
◎下げ潮でも風とか波のうねりを考え、高い釣り座、位置から釣り座を構えることをイメージして下さい。
◎最後にもう一度、秋から冬の風は特に注意して下さい。
◎無風であっても川尻の磯は絶対に大波がきます。それは沖で航行している大型タンカーの波が10分から15分ごろして磯に押し寄せてくることがあります。
◎風の向とか、潮の流れ、干満差による様々な状況によって緩やかな川尻の磯に大波が這い上がってくるのです。
◎大きな波が這い上がってくるときは、急に波の底が見える、潮が引いてしまうことです。
◎波のメカニズムを知る上でも、磯場で5分間、波の状況を観察し、波に、海に、背中を見せる事は決してしないで下さい。
◎先輩達からの伝言は『海を背にするな!!』
◎少々ハードな釣りをしていると想ったら、このことをしっかりハートに刻み込み、意識して下さい。
◎楽しい、面白い、安全な、釣りを心掛けることは、家族や友達に迷惑かけない釣りをする事だと思います。
◎そして、なにかのときは携帯電話で、すぐに海上保安庁 118番へ。
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第八章 海難事故に遭遇しない釣り人の心構え
安全なファミリーフィッシングの釣りスタイルとは その35
最近の釣り番組はすごーくソフトになってきました。テレビや釣り新聞においても、メディアは荒磯釣りとか大物釣りより、もっと身近で、だれでも釣りができるようなファミリーフィッシング向き、あるいは新しい釣りスタイルをアピールさせたものから、女性向けに発信させた、優しい釣りスタイルを、釣り具業界あげてオープンさせているようです。
私達が今まで実践してきたハードな趣味の世界は、ゲームフィッシング的な釣りスタイルに置き換えて、トップトーナメンターが競いあう、劇場型フィッシングが、今の釣り文化を支えています。その釣りスタイルも、ごく限られたメンバーとか、すそのを広げるようなインパクトにはなってないのが現実です。
昭和から平成にかけて、趣味として遊んでいる釣り人は2000万人から3000万人とも言われた時代もありましたが、すでにその面影はありません。大自然と関わる優しいエンジョイフィッシングを、ソフトな形でアピールさせながら、趣味のすそのを広げ、それを次世代の釣り人育成に望みをかけ、若い釣り人に、もっともっと釣りに親しんでもらうことを、今の釣界は望み、それをささやかな形で私達はサポートしています。その中で安全を意識した「事故防止の心得」を少しばかり紹介してみたいと思います。
前文であるように、誰でも気軽にフィッシング、身近な釣り場で、豊かな自然の恵みを実感し、体験してゆく過程で、絶対必要な事故防止。海に落ちたらどうなるか!! これが真っ先にくるテーマです。それに様々な事故、ケガ、磯場や岩場で、波止のテトラから滑って、転んで、テトラの穴に落ち込んでケガをした人、帰らなくなった釣り人を、私達はいくらでも知っているはずです。
危険と直面した海釣り、安全な釣りなんてまずありません。渡船や、レジャーボートであっても、ライフジャケットを着用しなければ安全という事はありません。その上で、いつ何があるか分からない事故に、しっかり下見構えをしておくことが大切です。又、様々な知識も必要です。その為のリーダーの育成とか、海難、海防講習会、あるいは海で溺れた人を助ける為の救助方法とか、救難救助の方法も定期的に開催されている消防署などの講義に参加することも必要です。特に子供と遊ぶファミリーフィッシングなら、なおさら受講しておきたいものです。そして大自然と接する海釣りに限らず、池や湖、川であっても、これらのことをしっかりイメージしながら、釣りを楽しみたいですね。
ファミリーフィッシングの、安全な釣りスタイルとは
最近の釣り具店には、色とりどりの子供向けの救命具があり、サイズも豊富で、かなり安価で販売されています。それらのライフジャケットをしっかり身に着けて、海や浜、堤防の釣りを楽しみたいものです。又、お母さんだって女性用の救命具をぜひ欲しいと思います。
最近はエアー式の薄手のものが人気で、ウエストポーチ型もあるので、ぜひお父さんのスペアーとして、あるいは若者向けの新しいファッションとして、ほしい一品です。又、もしかして海に落ちたらとか、他の釣り人が、などとして欲しい救命ロープも必需品です。これは水汲みバケツの紐を5mから15mに長くしたり、2ℓのペットボトルの首(キャップ下)に、あらかじめ紐をくくり付けておき、とっさに投げれるよう準備しておけば救命ウキ輪として利用できます。
堤防からの釣りで一番危険なのはテトラポットからの釣りです。子供さんはもちろん、お母さんでも絶対にテトラの上から釣りをしてはいけません。単にテトラの上に立つだけでなく、竿や荷物、お魚さんを掛けたときなど、すごく不安定な足元なのです。又、お父さんでも夏場と言って、スリッパ、ゴムゾウリでテトラの上で釣りをしないで下さい。特に雨が降っているとか、海水がついているテトラはすごく滑るのです。
私はフェルトの付いた磯ブーツか、滑り止めの付いた運動靴着用で、できるだけ身軽に動ける軽いものを履いています。そしてテトラからの釣りはバッカンと竿だけとし、小物品は全てライフジャケットに入れ、動かない釣りスタイルにしています。その上で、私は出来るだけテトラ波止からの釣りはしないようにしています。
今から大変暑くなります。日中釣りは、ひさしの長い帽子か、麦ワラ帽子がイイですね。水筒やタオルなどで湿らせたタオルを頭にかぶっておくと随分違います。
そして夜釣りはもっと危険です。テトラポットからの釣りはしないように。又、ファミリーフィッシングの夜釣りはやめて下さい。どうしてもなら、岸壁からの釣りで水銀灯があるなど明るいところで、皆が良く見えるところでします。救命具には必ずLEDライト装着まで含めて安全意識を高め、お父さん、お母さんの、気配りは絶対欠かせません。
他に救急グッズとか、あったら便利の良いものを車に常備しておくことも大切です。いずれにせよ、ファミリーフィッシングの釣りスタイルで、これらの事をしっかりさせて、釣りを楽しんでいる家族を見ると、私はすごくカッコイイと想うのです。お父さんのハートが、優しさが、すごく感じて嬉しい気分になりますね。ぜひお近くのお店で安全グッズ、スタイルを、店員さんと相談してお求め下さい。
そして、何かの時は携帯電話で118番通報、海上保安庁に大至急連絡してください。その上で何かのとき、もしかのとき、を考えて釣り場では、みんな友達、挨拶と釣りコミュニケーションをしましょう。ゴミマナーもよろしく。
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第八章 海難事故に遭遇しない釣り人の心構え
近場の釣りで死亡事故、その遺族の悲しみ その36
私が知る釣り仲間のAさんが、先の東日本大地震で亡くなりました。
彼は町役場に勤める責任者で、地震と津波対策会議室で、まさかの大津波で犠牲になったことを聞きました。そして、ある港の波止で津波情報を知っていたのか、知らないのか、釣りをしていた釣り人が、沖から寄せてくる大津波を見て、慌てて逃げている釣り人を高いマンションから見ていた住人が、津波に巻き込まれている災害現場を見て、恐怖におののいたことも聞きました。今度の地震、津波で亡くなった人々の痛ましい事故現場は、テレビの映像では完全にカットされていますが、現場、災害に遭遇した、たくさんの人々は、これらの現実を生々しく記憶にとどめています。そして悲惨な災害に遭遇した釣り仲間や家族の皆さんに励ましの言葉を伝えられないことに、私達はせめてもの義援金という形でしか、手を差しのべれない現実に自然災害の恐ろしさを改めて知るのです。
さて、昨年の夏も水難事故で亡くなった人が全国で2千人近くのぼると新聞で読みましたが、その多くは海水浴でおぼれたものです。海や川、あるいは湖や池等で水死された人々の多くは、水遊びによる突然的な事故、あるいは身体の異状によるものですが、自然現象による不慮の事故もありそうです。
私達、人間は個々のアクションがまちまちで、それがゆえに、たまたまの偶然が誘発しておきる水難事故は、自分で招いたものが多く、決して災害でないことを再確認したいものです。その上で命の大切さをしっかりハートに刻み付け、自分も、家族も、友達も、みんなで海辺の事故、釣り人の海難事故をなくしたいものですね。
近場の釣りで死亡事故を検証する・若松西部埋立地岸壁
一昨年のことですが、私の釣り仲間で以前クラブに在籍していたY君が釣り場で亡くなりました。そのY君はまだ40才、その親は私の釣り先輩にあたる方ですが、今は現役を退いて時々のお付き合いがある親しい方です。
1月23日(金)、中潮、午後からの釣り場はホームグランド
そのY君が自宅近くの若松響灘西部埋立地に、夜釣りに行ったことから始まります。
まだ一月末旬の寒いときで、外洋は波浪注意報、しかしY君の釣り場はコンビニがある県道から300m入った波静かな埋立地岸壁です。釣り場は、自己の車が見える一番奥まった内湾、しかも風が無く釣りがしやすい状況でした。
Y君は午後からの半夜釣りを考え、キャップライトの装備に防寒スーツ、磯ブーツまで着用し、万全の装備で釣りを始めます。
マキエでチヌかメバルを寄せる、ウキふかせ釣りスタイルで、周辺には何人かの釣り人、この日、彼と言葉を交わした釣り人が居た様子。しかし、冬場で夜釣りをするのは彼ぐらいでしょうか?
ここまでは親と知人等で聞いたことをまとめたものです。
その夜、Y君は家に帰ってこなかったのです。
1月24日(土)、中潮、海上は波浪注意報
天気は曇のちミゾレで相変わらず風が強く、ときたま降る雪も横なぐりの状況。その中で両親が不安になって昼前に息子を探しに行きます。たぶんこの辺だろうというところに行けば息子の車があります。
車内は釣り服に着替えた様子が伺え、履物が車内に置いてあるのです。
そして50mほど先の岸壁には息子の釣り具がきれいに置き去りにされています。しかし息子が居ないのです。
ここから息子Y君の行方不明、遭難、あるいは事件ともみられる事態が始まったのです。
親がその辺を捜すが居ない。110番すると若松署、交番署員が駆けつけ探しますが居ません。もちろん吹雪が吹くような天気が良くない日に釣りをする人など誰もいません。それで事件などを含めた捜査がここから始まるのですが、夜になり、この日は暗くなって打ち切りとなりました。
1月25日(日)、中潮、海上は強風波浪注意報
早朝、寒いーィ、強風とミゾレ混じりの雨がときたま強く降る中で、北九州市若松消防署レスキュー隊員が、釣り人が落ちたと思われる海域を潜水して探すのです。海水温度は急激に下がって冷たい様子。その中で4時間ほど釣り場区域を中心にして探しますが見つかりません。
この日は息子の会社仲間や親戚、知人が多く来て、海岸を広域に探します。親は震える身体で夜まで捜すのですが見つかりません。
25日の新聞に釣り人遭難記事が記載されました。その記事を読んだ釣り仲間から連絡があったのが深夜でした。
1月26日(月)、大潮、海上は強風波浪注意報
出社して釣り友達の遭難で、捜索の協力をしたいので早退届を会社に提出し昼前、事故現場に入りました。
そこには福岡県警、若松署などのレスキュー隊他、署員25名あまりがいました。午前中、区域をしぼりながら5人のダイバーが90分交代で潜りました。ミゾレと雪が降る寒い日、冷たい北西風が捜査の隊員、私達の体温を一気に奪い去ってゆくのです。海上では、昨日から海上保安庁の警備艇が二ハイ、その様子を見守りながら捜索活動をカバーしています。陸と海の捜索を連係プレーしながら、隊員に指示をする隊長のバ声で現場は緊迫した様子が伺えるのです。そして私も西部埋立地2㎞の海岸を二往復して海を見つめました。
午後3時30分、レスキュー隊員が海から上がり、今日はこれまで、と親に告げます。
1月27日(火) 大潮、曇のち晴で、海上は波浪注意報
有給休暇届を出して早朝9時、現場に着きます。
だれも居ない現場の岸壁では釣りをしている釣り人が二人居ました。彼達は今回の事故を知らないようです。
10時前、最初に事故捜索活動をした若松消防署の消防車が来ました。てっきり今から活動するのかと思ったら、今日は別に行く仕事があるので、その途中で「気になったので立ち寄った」だけとのこと。
その上で「消防署の活動は人命救助とか、まだ助かる見込みのある場合の初期活動のみ行動する」そうで、今度の役割は終わったと聞きました。昼までの2時間、現場そばの脇ノ浦漁協に立ち寄り、自分勝手に今度の事故、遭難の件を事務所、理事長に聞いてもらいました。
「漁協組合員さんに、この事故を知ってもらい、漁の行き返りでも海上を注意して見てくれたら」の事をお願いしました。その気持ちを温かく受けてもらいました。
12時、福岡県警察署レスキュー隊員他、たくさんの警察署員が来ます。クレーン車にゴムボートとか、警察バス、パトカー2台等、警察車輌8台に40名を越える大がかりな大捜査となりました。
海上からは海上保安庁の警備艇が捜索を見守りながら連日、沖合から監視しています。そしてレスキュー隊員6人が横一列になって潜ってゆき、90分交代で海域をくまなく探しています。陸上でもたくさんの署員が草をかき分け厳しく探しています。しかしながら40数名の署員にH氏の親戚、家族、友人、会社などから駆けつけた多くの人々が捜索したにもかかわらず、午後4時、捜査が今日のこの日で打ち切りとなりました。帰り道、脇ノ浦漁協に親と一緒に立ち寄り、今日の捜査、今後の海上での遺体発見などについて協力などお願いしました。
2月7日(土)、中潮、天気は晴、月夜
若松区安瀬埋立地、通称 運河東側の新日鉄埋立地岸壁で夜釣りをしていた釣り人が、目の前に大きな人間らしきものを発見。携帯電話で110番通報し、署員が駆けつけ、遺体を確認、引き上げて若松署に。その夜、親が息子であることを確認します。その後、遺体は警察署で検証され、家族の元に帰ったのが、10日(火)となりました。
2月9日(月)
親からの連絡で、この件を知り、仲間達に連絡します。
2月10日(火)、通夜
夕方、勤務を終えた私達は若松 紫雲閣へ。親と棺に入ったY君と対面しました。そして、
2月11日(水)、葬儀・事故現場に花を供える
早朝、晴。冷たい風があるものの温かい陽ざしがある中、事故現場に行き妻が花束、私は熱い缶コーヒーにパンを供えてY君を祈りました。そして再び葬儀会場に行き、仲間達とY君を送ります。
葬儀の後、もう一度釣り仲間達と一緒に事故現場に行き、葬儀の花をたくさん供えて、みんなで祈ります。天国に召されることを祈って。
その足で、そばの脇ノ裏漁協に行き、事故からの報告、そして、このような結果で終えたことを伝えて「ありがとうございました。」の感謝を伝えて、理事長から「お疲れ様でした」との言葉をいただきました。
今、簡単に事故の流れを紹介してみましたが、これは要約してあります。
現実にはもっと深い、長いプロセスがあり、親や家族の苦しみ、嘆き、そして多くの釣り友達や、それに関係する人々のストーリーが多大あることです。
「たかが釣り、されど釣り」であるけれども、命に関わるような釣りをしてはならない。近場の釣りといえどもライフジャケットの着用をお願いして仲間や、釣り友達と、同行した釣りをお願いしたいのです。
釣り場で亡くなった釣り仲間、そして家族に与えたもう一つの試練
Y君とは小学生の頃より親しんだ釣りの後輩でもあり、親は私の釣り先輩、しかも会社の大先輩でもあります。ですからYくんとは、いつも「おいちゃん、おいちゃん」と呼んでくれる、遊び仲間でもありました。
その家族に姉、妹がいました。そのお姉さんがY君が亡くなられた10日後に病気で亡くなり、Fさん家族は一度に二人の子供さんが亡くなってしまいました。
お魚釣りが結べた、この不幸はありえない現実に、私も釣り仲間達みんなが泣きました。
たかが釣り、されど釣り、こんな事が二度と起こらないよう、私達はこの事故の教訓を活かして安全な釣りを心がけ、家族に迷惑をかけない釣りをしたいと想います。
Y君、Mさんのご冥福を心よりお祈りいたします。 合掌。
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第八章 海難事故に遭遇しない釣り人の心構え
私もケガした磯渡しの危険認知 その37
始めて体験した私の磯釣りは恐怖でおしっこを漏らした?
ちょっと恥ずかしい話ですが、本当に怖かったあのステージを今でもズーッとそのことを胸にとどめています。
昭和44年の5月ゴールデンウィーク日、まだ20才そこらの私に上司が甘い言葉で釣りに誘うのです。なぜならホンダN360軽自動車を持つ私の車で宮崎県門川の磯釣りに連れて行けというのです。
一泊二日の釣り、エサも費用も全てタダ。全部先輩達が負担してくれて、片道7時間かけて行く、いおん川港の松田渡船で早朝出船します。
このときは良かったのですが、港を過ぎて10分ぐらい沖に出ると、けっこう大きな波があり小船が中々前に進まないのです。それでもゴトゴト行く木造船は、ゆったり波に乗って進みます。1時間ばかりかけて行く所が大ビロー島。
断崖絶壁の凄―ィ島にビックリしながらも、大きな波が磯にドーンとブツかる音というか、自然の景観に圧倒されます。その中で先輩達がもっとも上がりたいタツガハナという超1級の石鯛ポイントです。
なんとか上がれそうと船長の判断で、私達の仲間8人が上がります。しかし、私は始めての磯上がり。磯釣り歴5年~10年のベテラン達が渡船のホースヘッドから磯へ飛び上がる光景を見て恐怖です。
波が磯に押し上がってゆくとき、船もその波にうまく乗って磯のカベ50㎝ごろまで近づいたところで飛び移る分けで、このタイミングを見極めないと中々上磯できないのです。今のように渡船が大型で、馬力があって、磯場にピッタリ接岸してくれないのです。このときの私は「もう帰りたかった!!」しかし後の先輩達が「上瀧、今上がれ!」と、タイミングを見て声をかけてくれ、ズッコケながらも無事磯上がり成功。しかしチビッてしまったのです。
しばらく放心状態で釣りができなかったのですが、同行した先輩達4人が石鯛釣り。板橋さんという名人がこのとき4枚、遠藤さんが4Kオーバーの石鯛を2枚釣った、と、後から聞きましたが、私にはどうでも良くて、この日はほとんど磯遊びでした。そして昼過ぎから風が出てきだしてシケになるとか。それで波が大きな音を立てて磯にブチ当たり、そのシブキが凄―ィのです。
高所で磯を眺めているのだけれども、帰りは大丈夫なのだろうか?と不安でいっぱい。しかし、先輩達はメジナが乱舞する釣りに没頭しています。そして松田渡船が早めに迎えに来てくれました。
大急ぎで準備するのもソコソコ。小さな木造船が磯に近づいてきて、船長が大声で怒鳴る 「飛べ!!」
先に飛んだ先輩の二人が、船のホースヘッドに転げ落ちて、もう恐怖、恐怖。モゥーここに居たいと想いました。
私は6番目、荷物は一つだけ波に落ちましたが、そんなことはどうでも良いから「サァー飛び乗れ!!」と先輩のバ声がとびます。しかし、小さな渡船が波の中で洗われ、木葉のように左、右に動き回る中、あの小さな50㎝四角のホースヘッドに飛び乗れというのは無茶!!なんです。
みんな必死の形相。特に船長のバ声が凄いんです。大きな波が磯場にぶち当たり、返しの波が大きく窪んで、渡船が海の底に引き落とされるような荒海の中、船長さんも必死なんです。そして後の空閑課長が「上瀧 オレが見てやるヶ 一、二、三で飛べ!!」 軽く背中を押されてなんとか飛べた。船内でズッコケて!!
8人全員無事。船に乗って帰るときも怖かった。
波の間に小船がはまると私より4~5m上に波があるのです。凄―ィ恐怖があったけれども、先程の怖さを考えれば「こんなことはたいしたことない!!」そんな想いで80分かけて無事、港に帰り着いたのでした。
次の日も釣りができましたが、私は安全な波止で遊び、先輩達は再び磯釣りをして、それぞれ石鯛やクロ、ヒラアジを釣り、私はそのおこぼれを貰ったのです。そのような門川沖のビロー島、小ビロー島、ブリバエ、スズキバエに随分通いましたが、石鯛が釣れなくなった頃には大分県蒲江とか、鶴見方面のクロ釣りに行くようになったのです。
今でこそ馬力のある超大型渡船が、ホースヘッドをピッタリ磯に着けてくれますが、あの頃の磯渡船は、あれが当たり前の時代であり、多くの釣り人が事故に遭遇し、死亡事故も昔は多くありました。
今は、そのような事故は少なくなったにせよ、安全であることはありません。最近の私も大分鶴見の磯上がりで、よろけてズッコケて足を打撲。しかし、そのときは釣りをして帰り、そのあと不具合を感じ、病院で捻挫打撲で一週間休暇をとったこともあります。又、長崎県対馬の浅茅湾の磯渡しでも、同じような経験をしました。いつも安心して渡船の乗り降りをしているところに安全意識のうすさ、心構えをしてないところに、要因があります。
渡船の乗り降りは、もう少し緊張感を持つとか自信過剰はケガの元、十分注意されて渡船を利用したいものです。そして必ずライフジャケット着用し、磯釣りの安全装備とグッズをチェックしながら、家族や仲間達に釣行先、帰り時間等を報告しておきたいものです。また、渡船の乗り降りから磯渡し等、いくらナギであっても、荷物はチームで手渡して下さい。自信過剰は事故の元です。
先日、大分県別府国際港沖の横一文字波止に釣行しました。この波止、近場の波止としては超一級で、10㎏のカンダイとかチヌの58㎝、ヤズとかクロの大物が釣れることで有名です。それで私はチヌ狙いで右側のテトラが入ってない東側に着けてもらいました。仲間6人とけっこうクロ、メバル、アジを釣り、昼の2時からの帰り便のときです。
私達と入れ代わりの釣り人が上がって来ました。
単独行の方でしたので、全部荷物を持って渡船から波止に上がろうとしたときです。そのとき大きなタンカーがそばを通り、大きな波となり、渡船のホースヘッドが急に大きく上下して、釣り人がホースヘッドから転倒しました。たいしたケガではなかったのですが、左足に違和感があって、引き返してしまいました。
個人的な磯渡しでも、みんなで協力して荷物の手渡し、そして渡船の乗り降りは素手で。これが何かのとき、ケガを最小限に防げる手段となります。
私達は自然に直面した遊びの釣りをしていますが、自然はいつなんどき、何があるか分からないのです。
船長さんが「ちょっとシケているが大丈夫、出船するョ」と言っても、自分自身で判断し、自信がないなら釣行を中止したいと思います。それも勇気だと想います。
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第八章 海難事故に遭遇しない釣り人の心構え
北九州関門海峡の釣り人死亡事故と近場の釣りでもライフジャケット着用 その38
瀬戸内海国立公園でも、もっとも西側に位置する関門海峡は本州と九州をへだてた急潮の海峡として有名です。
幅500mほどの海峡瀬戸上に関門自動車有料道路の関門橋があり、両サイドの下関火の山PKと門司めかりPKから見る関門海峡の景観はすごく奇麗です。その素晴らしい自然景観の中で、私達は釣りに親しんでいます。
釣り人の多くは岸壁からの投げ釣りですが、急潮の為、PE2号の道糸にオモリ40号で100mほど投げるのですが、大潮だとオモリが一気に流され、岸壁近くまでオモリが押し戻されてしまうのです。それで潮止まりとかトロミ潮、潮目を狙った釣りをします。ウキふかせ釣りでチヌを狙う釣り人はそのようなポイントか、岸壁より内湾に入った波止、あるいは潮の流れが緩い釣り場を選びますが、それでも急潮の影響は多大あり、負荷のある棒ウキ05号~2号クラスで攻める釣り人が多いようです。
そして今もっとも人気のあるジギングで青魚を狙うスタイル、そしてスズキ釣り。又、ソフトルアーからロックフィッシュやナイトフィッシューで攻める十代から二十代の若者がメバルなどの根魚釣りにはまっています。
4月~7月までは甲イカ釣りが盛んで、車を横付けした発電機持参のオールナイト組は凄く賑やかしいし、そのような釣り人が年中、この関門海峡で釣りを楽しんでいます。
ファミリーフィッシングで子供が海に落ちた
昨年9月、関門海峡の片上岸壁で夜釣りをしていたファミリーが海に落ちたニュースをテレビで見ました。
次の日、西日本新聞にその事故が小さく記載されていました。小さな出来事のような記事であったけれども、私達釣り人にとってはショックでした。通報したのは近くに居た釣り人で、海に落ちた子供の叫ぶ声を聞いて110番。水上警察のボートが子供を救助したようですが、その子供は死亡。親は子供を助けようとして海に飛び込んだもようですが救助されていません。その後の内容は分かりませんが、釣り事故があったことは確かです。
片上一文字波止は中央の岸壁に駐車でき、両サイドの波止で釣りができます。ウキふかせ釣りのチヌ釣りが有名で、若者達のソフトルアーとかナイトフィッシューの好場として知られます。しかしその波止は関門海峡の急潮をモロに受け、激流のような速さがあるのです。
私もこの波止で釣りをした事が多くあり、特に今年は青魚のヤズ、ヒラスが回遊してきて、5本、10本釣った仲間も多くいます。両サイドの波止は関門橋側が100m長さの波止で急潮で釣りづらい。小倉側は、くの字の波止中央に以前、赤灯台がありました。その先端部が港に入り込んでいるので潮目ができてチヌ釣りがしやすいのです。しかし、引き潮は潮の流れが沖潮になり、早く釣りづらいのです。
以前、釣り人が海に落ちた死亡事故があり、救助された釣り人も二~三件あると警察署から聞いています。その危険な波止で夜釣り、しかもファミリーの釣りとか。そしてライフジャケットは着用してなかった、こんな状況で海に落ちて救助されたら奇跡!!と思える関門海峡の釣り場なのです。
関門海峡の釣り人転落、死亡事故はこれまで10件以上ある。
釣り人が海に転落する事故の要因は主に飲酒によるもの。その次が車ごとダイブしてしまう事故。そのどちらも自己の不注意によるものですが、そのちょっとした不注意は、誰でもあることなのです。
ちょっと用たしを!! 海に向かってするのですが、これはとても危険なこと。自分で分かっていても、ついしてしまう自信暗記がそうさせるのかも知れませんが、激流の海峡を前にして、一つ、二つの動作を確かめながら、釣りをする私達は、いつも危険と直面した遊びをしていることを認識したいものです。その上で『もし海に落ちたら』ということまでイメージして、それなりの対策、対応を考えておく必要があります。
私は車に20mほどのロープと2ℓのペットボトルを二コ、いつも常備しています。そのペットボトルに首輪を付け、ロープをピンで止めて投げれるつもりの救助法です。
2ℓのペットボトルが二つあれば人間の身は十分浮くということなのですが、これは最低限の救助法。
その上でライフジャケットを着用した釣りをしたいのですが、近場の波止とか岸壁ではまず無理、私さえしないことが多くあるからです。それでこの頃はエアー式のライフジャケットを着用するようになりました。まだ完璧ではありませんが、これから少しずつアピールしたいと思います。
救命具、ライフジャケットのいろいろ
私が愛用しているライフジャケット(救命胴衣)は10着ほどありますが、古いものは浮力が弱くなっているので、3~4年おきに購入しています。その中でも本誌の通販でたびたび紹介されている、エアー式のライフジャケットは軽くて動作がしやすい。しかも利便性というか、いつでも身近に置いて着用しやすいのがイイですね。又、ウエストタイプは、やや丸みがあってフィット感があり、利便性に優れています。その上、上半身が自由に開放されて、今、このウエストポーチ派が増えています。いずれもソフトなライフジャケット(救命胴衣)として若い釣り人に人気。ただ、どちらもちょっと重いエアーボンベが装着されており、水につかると瞬間的に膨らむので、大雨のときとか海水浴などのときは、あまり水に触れないよう注意したいと思います。又、一度きりなので使用後はボンベを再購入することになります。これが1本3000円前後となりますが、これがデメリットになります。
普通のスポンジが入ったジャケットは、有名メーカーものは高価ですが、スタイルとか機能が充実しており、使用する釣り人のニーズに合わせて購入したいものです。その中でも安定感を求めるなら、首上の頭を支えるロングタイプがお勧めです。浮力や価格も様々ありますが、身長から体重がありそうな方は、浮力の強い、しっかりしたものを選びたいですね。又、シーズンタイプに合わせて、夏用とか、春秋用、オールシーズン用とあるので、周年釣りをする方は二~三種のライフジャケットはほしいところです。
その上でライフジャケットの機能もそうですが、色も黒より白とか朱色タイプの、遠くからでも良く見える色なら尚良いと思います。これは、遭難したとき、広い海でライフジャケットを着用した釣り人を探す場合、黒ポイ色では非常に分かりづらいのです。朱色、オレンジ色であれば探しやすいと海上保安庁。これは行政等が使用するライフジャケット(救命胴衣)は、ほとんどが朱色、オレンジ色に統一されています。やや派手かも知れませんが、磯釣りのときは、ぜひ一着ほしい色です。
又、女性や子供達にもぜひ一着ずつ着用したファミリーフィッシングをお願いしたいところです。特にお母さんには、それなりの新しいタイプのジャケット、子供さんには年令によってサイズを選べるジャケットが最近品数が豊富に揃ってきました。
これらのものをぜひ一着、できたら良い物を選び、ちょっとカッコ良い家族の釣りを演出してほしいと思います。
有名釣り具メーカーに新しいタイプのライフジャケットの提言
10年ほど前から私がモニター、インストラクターをしているメーカーさんに、前にも述べたようなライフジャケット(救命胴衣)をお願いしています。基本は、もし海に落ちたら。もし海で救助を待つなら。そして事故に遭遇しないジャケット。をテーマにして、再々メーカーさんにお願いしています。
一番大切なことは、まずライフジャケットの救命装備です。
浮力の無い、耐水浮力が短いジャケットはダメです。やはり、それなりの物が求められますし、しっかり身体にフィットしたジャケットである為にも、ヒモ、バンド、固定式ワンタッチ式金具、アクセサリーは大切です。その上で私は特に色にこだわっています。朱色、オレンジ色のライフジャケットは店頭にはほとんどありません。あっても安物、高級感が無いのです。昨今のようなファッションも大切かと思いますが、やはり命が大切です。
①救命探査で速く見つけてもらえることが大切。
②夜間でも分かりやすい色をお願いします。
③蛍光ラインとかLED電機が装備されたライフジャケット(救命胴衣)はぜひほしい一品です。
④エアー式タイプのものは近年ずいぶん品数、装備が揃ってきました。
⑤価格も様々ですが、爽やかイメージとか、スポーツ感とか、機能がある等、素材や色、発光ダイオードまで考えたものをアピールすると良いでしょう。
⑥釣り人に優しい価格で、充実した安全性があるもの、を、有名メーカーにお願いしております。
マイカーの岸壁ダイブ事故
近年、この種の事故が非常に多くなってきました。海釣りに限らず、駐車場から出る際のギアの切り替え、アクセルの踏み方、ブレーキとアクセルの踏み違いから、様々な要因で、店に突っ込む車の多いこと。
こんなニュースを見て、釣り場となる岸壁から車ごと転落する釣り人が増えたことは確かです。
その事故の多くは、ほとんど夜間で、車の操作ミスもありますが、周辺が見えないところでの勘違いによる運転ミスも多いようです。また、飲酒運転も意外と多いのです。
北九州市門司西海岸の警察派出所で聞いたものですが、車止メを簡単に越えるパワーと、たまたま車止メがなかった、ところが死角となって、転落したケースもあります。いずれにせよ夜間は、より慎重な運転と、岸壁そばに車を駐車させないこと。できるだけ前から出られる駐車の仕方を考えておくと良いそうです。
そして「海に落ちて脱出する際の窓ガラスを割るハンマーを車に準備しておくことも大切ですョ」と警察官から言われましたので、私は運転席下にカナズチと救助ロープを常備しています。
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第九章へつづく |
本文と合わせて1960年代からのポール・モーリアのmusick №1~№15までお楽しみ下さい |
海難事故に遭遇しない釣り人の心構え 未来へ継ぐ釣り文化、釣り場美化推進のとき |
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第八章 海難事故に遭遇しない釣り人の心構え
釣り団体組織の共済保険と釣り人の保険は その39
今年は夏山の登山遭難事故が多くあり、山の救助等で出動したヘリコプターは一千件を越えたと警察庁、総務省がまとめて発表されました。又、救助先でヘリコプターが墜落した事故も三件あり、山の救助活動は大変だと思いました。
そのヘリ出動にかかる費用は一時間あたり民間で60万円、警察や自衛隊、自治体の場合は無料となります。しかし、どうしても民間機を利用する状況もあり、多大な費用がかかるそうです。それにともなって救難救助や捜索する警察などは職務ですから無料ですが、地元の山岳遭難救助隊が出動すると、費用は遭難者、家族の負担となり、捜索者一人あたり2万~3万円プラス10人で数日の捜索を含むと百万円を越えるそうです。
それで日本山岳協会は登山者に保険に入るよう勧めています。
ちなみに今年の山の遭難者数は2千人を越え、その内40才以上が8割もしめたそうです。
九州磯釣連盟 独自の共済保険制度
海釣りではどうでしょうか、私達が入会している釣りクラブの上部団体、九州磯釣連盟では連盟独自の共済保険制度があり、もしかしての事故については磯連会員、自らボランティアとしてソク行動をおこし、連帯して遭難救助活動するシステムがあります。その応援体制は九州、山口県を含む各県支部、地区、執行委員から会員までが協力することを会員規約で定められています。また、海上捜査となる場合は漁船による経費では全て保険金等で支払われ、事故後の保障も追記された規定の中で運営されています。
この他にも民間の釣り保険も各種あるようですが、もしものときとか、家族や知人達に最小限迷惑をかけない保険、もしくは釣り団体組織に入会され、安心の保険と仲間意識を考えた海難防止、海防講習などを受講し、安全な釣りを心がける事も大切かと思います。
釣り具業界がアシストできる釣り保険で安心を買う戦略
近年、大型渡船の就航と安全意識のたかまりで磯釣り事故そのものが少なくなってきました。その反面、近場の釣り事故が増えています。これは釣り人の釣りスタイルが多様化され、安全意識をもたない釣り人が増えたのが原因です。手軽に遊べる釣りファッションは若者人気なのですが、ゲームフィッシングからスポーツフィッシングと、ロマンを追い求めるなら、ぜひ釣り保険を視野に入れてほしいと思います。その上で釣り人と向き合いコミュニケーションできる釣り具メーカーや釣具店が、釣り保険もアピールできると、顧客を取り込んだもっと面白い営業戦略ができると思いますが、如何でしょうか。
九州磯釣連盟会員が遭難した現場から
山口県下関市ひびき灘沖の蓋井島、その本島と小さな小礁が点在する釣り場は、北九州、下関の磯釣り道場として、多くの釣りファンが通っている釣り場です。その磯場の中でも超A級磯が伊瀬という小礁。私も二度ほどその磯でチヌとクロを釣ったことがあります。
ほかにも本島廻りの磯場は200人ぐらい入れるポイントがあり、下関市吉見、吉母港から渡船が出ています。
その磯場、ちょっとシケると意外と大きな波があり、近場の磯といっても優しいものではありません。釣りクラブの大会や個人的な仲間達の釣りで秋磯にチャレンジするのですが、私のときはいつもシケで、渡船がなかなか磯に、岩場に瀬付けできない恐怖を度々味わったことがけっこうありました。
その蓋井島の磯で、これまで七件以上の遭難死亡事故があり、その内の二つほどが九州磯釣連盟の会員さんでした。
そのときは磯連会長はじめ執行役員 及び大勢の会員さん達が遭難救助活動しましたが、残念ながら当事者はニ件とも死亡しました。
同じく北九州市白島は男島と女島の磯場があり、その一部は白島石油備蓄基地として釣りができないヶ所も現在あります。それでも近場のオアシス的な磯場として人気があります。ロウソク岩とかカベ、という名礁でチヌやクロを狙うのですが、冬から春にかけて乗っ込みチヌの季節は大波で中々渡船が出船できないのです。今でこそ安全第一主義で渡船は出ませんが、10年前まではけっこう無理した磯釣りがありました。魚が釣れる、ことや、釣り人の多さを比例して少々無理した出船もあり、私達の釣りクラブにおいても、大会で予約していたのですが「渡船が出るのでどうするか!!」でしたが、二度も中止したことがあります。海上は、波浪注意報で波高3m、この時は船長さんから怒られました。
そして数年前の台風で、白島石油備蓄基地の外波止・テトラを崩壊させた強烈な大波がありました。玄界灘の波はハンパじゃない事を改めて知りました。そんな白島の釣り場で多くの釣り人事故、亡くなった方もかなりあります。
もう一つ、玄界灘沖に浮かぶ神の島、宗像沖ノ島は本誌でたびたび紹介されている荒磯の大物釣り場です。
津屋崎、福間などから渡船で60分ほどかかりますが、この磯場に私は10度ほどチャレンジして、イサキ、クロ、バリ、ヤズを釣りました。
その釣行を支えてくれたのが釣り仲間のEさん。彼は恵比須丸の常連客で、宮坂兄弟船長と20数年来のお付き合いがあり、ホームグランドの沖ノ島愛好会として大漁会を結成しながら、私達の海洋磯釣倶楽部にも数多く参加してくれた親しいEさんでした。
そんなEさんから沖ノ島の釣り方などをアドバイスしてもらい、随分イサキの数釣りをさせてもらいました。その多くは夜釣りがメーンでしたが、けっこう楽しめた釣行でした。
そして、そのEさんが年末の釣好で仲間4人と沖ノ島御門に上磯し、いつもの賑やかしい宴会。そして、ちょっと用たし、そのとき磯から転落。岩で頭を強く打ち付けました。その異常に気付いた仲間が、すぐさま恵比須丸を呼びつけ、70分かけ、福間港→救急車→病院へ搬送されましたが亡くなったのです。
次の日、その事故を知った私達は、まさかの葬儀会場へ行くことになったのです。
玄界灘の荒波は半端ではありません。大型渡船が転覆する事故もありましたし、磯場で波にさらわれる釣り人事故も以前は随分多くありました。
宗像沖ノ島は、絶海の孤島であるがゆえに、さらに釣り人のロマンは膨らみます。その分、危険と隣りあわせであることを認識して、万全の準備と装備、そして心構えを正しく持ち、通いなれた先輩と同行してほしいと思います。その上で釣り保険には必ず加入しておく必要があります。荒磯釣りを多く求める釣り人ほど、より確実な保険と仲間意識を持つ九州磯釣連盟には、ぜひ入会してほしいと思うのです。
今、紹介している事故は全て釣り場においての事故ですが、一方では渡船そのものの事故も多大あります。
渡船が岩礁にブツかって大破したことや、釣り場の行き帰りの転覆事故や火災事故で亡くなった九州磯釣連盟会員さんも多くいます。又、仲間も居ました。それ等も、「まさか!!」の不良な事故でした。
磯釣り事故は自然相手のもので、考えられない状況で、いつ、何があるか分からない。自己を防衛する手段とか、安全意識をイメージしながらの釣行も限界があるのです。
これまで紹介した事例を含めて私達は危険と隣り合わせの釣りをしていることを改めて知り、もしかのときに役立つ釣り保険等、身を守る、家族を守ることを意識します。釣り保険に入っておれば、心の余裕からイメージした、安全意識を貴められると想うのです。ぜひ加入をお勧めします。
お問合せ先
◎共済保険 及び 海事共済保険等がセットである釣り人組織の釣り保険。
九州磯釣連盟 本部事務局℡093―882―2222
又、貴方の通いつけの釣具店で釣り保険などを問い合わせて下さい。
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第八章 海難事故に遭遇しない釣り人の心構え
山陰川尻港でテトラから釣り人転落事故を検証する その40
ポカポカ陽気の12月初旬、4日は大分県国東半島、国東市めぐり。5日も豊後高田市の波止を探り、いずれもメイタ、クロ、アジ、それにメバルも良型が釣れて、まだまだお魚釣りは好調である。そんな釣行も優しい妻と一緒。帰りは国東路の温泉に浸って夕食まで済ませて帰宅する夫婦釣行。いずれも国東の紅葉が凄く奇麗だし、今、楽しめている。
さて、そんな陽気が続く6日(月)も会社の休みをもらって、今度は今、良型のチヌが釣れている山口県下関市、関門橋から65分ほどの山陰油谷町川尻漁港へ釣行した。
今度は仕事の関係で親しくなった村上さんで、彼はすでに年金生活者で私より一つ若い。大企業に勤めていたおかげでゆったり生活でき、今は退職金で補いながら、あっちこっちの磯釣りを良くしている。そんな村上さんは、まだ50㎝オーバーのチヌを釣ったことがないので、もしかしたら釣れそうな川尻港の波止へ案内するのが今日の目的。
彼のハイブリット・プリウスで、ゆったり、のんびり山陰道を走り、川尻港外波止そばに午前8時に着くと、いつものように釣研ライフジャケット着用して準備。村上さんにも、無理やり救命具を着用してもらったが
「こんなナギ日に着ることない」と言う!! しかし、
「以前、私の釣り仲間がこのテトラから滑り落ちて死ぬ思いをした波止!!」と言ったら、しぶしぶ着用してくれた。
そんな話しをしながら、高い波止上に道具を並べ、バッカンと簡単な小物類をベストに入れ、テトラからの釣りを始めた。村上さんは元気が良くて、テトラの上をホイホイ飛ぶ。私は久しぶりのテトラなので、ゆったり構えである。
硬めに練り上げたマキエは沖アミ二角と瀬戸内チヌを硬く練り、比重のあるマキエで、とにかく遠投とピンポイントすること。ここが大切として、村上さんにも同じマキエで、仕掛けも釣研ベリスコープBを水面まで沈め、トップの棒ウキ部がアタリをキャッチするつもりで、全部ポイント苅田店で買ってもらった。
私より早く仕掛けを入れた村上さん。いきなりヒットはクロの25㎝サイズ。ハリス1.5号でブリ上げ、続いて28㎝サイズ。15m沖潮がゆったり右流れで、凄―く釣れそうな雰囲気。今日もポカポカ天気で10月並の陽気とか。しかし、夕方から天気は下り坂。私達は昼過ぎまでのつもりでチヌ50㎝!! その目標がクロに変わってしまった。ウキ下4mでクロがマキエに沸き上がりヒットしているが、その前に小ダイが釣れ、カワハギ、フグと小魚が猛攻。クロも負けじと食ってくれるが、型が小さくなってきた。村上さんは25㎝以下は木葉クロと言ってリリースしているが、私にとっては良型。波止から手の平サイズは中々釣れないのだ。付エサも身持ちの硬いハードタイプは、㈱マルキューの「シャキ生」
村上さんも始めて使う生エサだが、すごく気に入ってもらった。
それで二人とも、仕掛けも、エサも、マキエも、みんな同じだが、さすがにベテラン磯マンの村上さんの方がはるかに上手い。ウキ下を4mから3mまで上げて、昼までにクロ15枚キープ。村上さんは30㎝近い良型を5~6枚だけ。彼はチヌを目標にしていたのだが、小魚が多くてエサをすぐ取られるので、底下に居るチヌは難しい。それで、小魚が少なくなった一月に再チャレンジするとのことだった。昼の一時にマキエが終わって納竿したが「山陰の海は凄―く奇麗だ!!」と村上さんだった。
釣り仲間が川尻港のテトラ波止から転落、その事故の検証
山口県長門市川尻港は外洋に面した静かな港で、波止が大小10本ほどある。その中の外波止は何度も上積み、延長されて外洋に大きな丸型テトラポットが入り、高さが10mごろもある。
もう一本の白灯台波止は外洋の荒波を大きく遮断し、ほとんどテトラポットで埋まり、こちらも高さが10m以上もあり、その沖に切れ波止のテトラ波止がある。山陰の荒波を寄せ付けない大きな港として、地方釣り人のホームグランドとなっている。
その東側は大浜海水浴場、こちらは年中サーフィン、サーファー達が遊んでいる長い砂浜があり、投げキス釣りでも有名な釣り場でもある。川尻港からでもキスが釣れるが、こちらは砂、モ地底があり、水深も5~10mごろとあまり深くはない。しかし、河水域と西側の磯から連なる自然との兼ね合いで、昔からクロ、チヌが濃い港として有名。
その川尻港で、これまで二人の釣り人の命が奪われたことを私は知っています。その中で釣り仲間が九死に一生で助かった事故を紹介します。
会社で繋がる釣り仲間の木村和彦さんは30代の磯釣りマンで、川尻港ではチヌ48㎝、寒グロは35㎝までが記録で、行けば必ず釣好があり、彼のホームグランドとなっている。もっとも私が教えてやった釣り場だけに、彼はここでの釣行を良く教えてくれる。その木村さん、まさかの事故に遭遇した。それは、
平成19年3月、彼は普段、仲間と釣行するのですが、このときは一緒に行く仲間がカゼをひいてしまい、しかたなく二人分のマキエを持って単独釣行となりました。当日は大潮で、天候は曇のち雨、風は少々で平日とあって釣り場はガラ空き。しかし、うねり波が少々あって、波しぶきがテトラを洗っている状況。
高所から釣れば大丈夫とし、遠投でクロ狙い。すると25㎝サイズがヒットして入れ食いモード。ハリス1.5号で、ほとんどブリ上げしていますが、軟らかい竿なので一段下のテトラに降りてブリ上げ、再び魚を持って波止に上がり、ライブェルに入れる作業をします。
10匹ほど、足のうら級をキープした午前10時ごろ、さらに波が高くなり、沖の方から漁船が帰って来ます。
「この辺で止めようか!!」と、彼も悩んでいますが、まだマキエはたっぷりあるし、釣れていますからもう少しとして、さらに釣りしていますと雨が降って来ました。
それで波止下に駐車してあるマイカーに戻ってレインウェアーに着替え、再び釣り開始。クロの30㎝クラスがウキ下3mごろでヒットして絶好調!!そのクロをブリ上げる為にテトラ下まで降りて抜き上げ、もう一段高いテトラに上がり再び釣り始める作業が続きますが、こんなに釣れることは滅多にありませんから、もう夢中になります。
正午ごろに納竿のつもりでバンバン、マキエを入れていますから余計にクロが釣れるようで、中々納竿の機会がやって来ません。
やがて雨風が強くなり、沖には白波が立って来ました。
「もう限界かなァー」と想ったときに強烈なアタリ、ハリス1.75号で15m沖でヒットした魚ですが、中々引き寄せきれません。ゴツゴツと竿を叩くようなアタリですから多分チヌのようで、ブリ上げはできませんし、ましてはこんな状況でタモなど使える分けもありません。でも6mのタモはすぐそばにあります。周辺に誰もいなくて、ヘルプを頼む釣り人がいませんから、彼は魚を港内側に誘いながら、波止先端のちょっと波がゆるい釣り座まで引き寄せる作業を30分ほど続けます。もう足腰がガクガクしていますが、なんとか取り込める位置まで来て、一、二段下のテトラに降りてチヌを掬うつもりでいます。しかし大きな波があって、中々うまくいきません。それで、もう一段下のテトラに降りようとした時、滑って海へ。このときはパニックになり、何も覚えてないそうですが、たまたま漁から帰港する漁船からウキ輪を投げてもらい運よく助けられたそうです。
生死を分けた幸運が二つありました
◎たまたま漁船が通りかかったこと。
◎釣りの途中でレインウェアーを着るとき、今まで着てなかった救命胴衣を着用した事でした。
初めて体験した海難事故に木村さんは「もうあのような無茶はしない!!」その上で釣り仲間と一緒に行くことはもちろん、ライフジャケット着用のありがたさを身を以て体験した事。その上で彼の車の中には、いつもライフジャケットが常備されているとの事です。
「私は大丈夫、そんな釣りをしないから?」といっても、たまたまとか、まさかなど、偶然に起きる事故、自然との関わりは、いつ何があるか分からないのです。
その危険と隣り合わせの釣りを、私達は何も感じないで遊んでいます。今度の事故をもう一度見直して、しっかりした心構えをする事が大切と想います。
身近に起きる事故の怖さを私達は色々な場面で知ります。他人事でなくて「自己の命は自己で守る!!」この事を大切にして、ライフジャケット着用から、釣り仲間達にもアドバイスなどして、みんなで強調した事故のない優しい釣りを楽しみたいですね。
後日、木村さんのお話しです。
助けてもらった漁船の船長さんや港の関係者から暖かいハートをもらい、磯竿も回収できたこと。その上で御礼を申し上げたところ
「ときどき、こんな事故がこの港であってますよ、気を付けて下さい!!」とのことでした。私達が知らない多くの事故が現実に、この川尻港波止でたくさん起きている事を改めて知りました。皆さん、波止釣りといえど十分注意した釣行をお願いします。
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第八章 海難事故に遭遇しない釣り人の心構え
若松響灘の波止で釣り人事故多発 その41
過ごしやすい季節を迎えると、どこの波止に行っても週末は釣り人でいっぱい。ファミリーFCから若者、シニア夫婦まで、釣り人は様々です。その趣味も健康とか自然景観に浸ってエンジョイするスタイルは、それぞれにおいてみんな自由。その中で釣り人事故は、どのぐらいあるのだろうか、それをテーマにしてみました。
釣り人死亡事故の大半は、釣りを良く知っているとか、釣りを趣味にしている方が意外と多く、過信からくるパターンとか、たまたまとか、まさか、と想われるような事態に押し迫ったときに事故が起きています。
近場の死亡事故、若松一文字波止で
今、釣り禁止になっている北九州市若松、洞海湾沖の「一文字波止」 その波止は昔、私達のホームグランドでした。
陸続きである為、随分カレイ釣りやキス釣りに通った好場です。キス釣りは夜釣りですが、外道のコイチは50㎝オーバーが釣れるし、キスは特に大型です。私の記録は32㎝。仲間達も33㎝の超大型が釣れたところです。それに冬場のカレイ釣りでは50㎝オーバーのザブトンガレイが良く釣れました。私の記録は45㎝なのですが、そのぐらいの大物が釣れるので、長さ300mあまりの波止にサーフキャスターが1m間隔に竿を並べることもありました。そんな波止は大潮の満潮で足元を洗う波があります。
大型タンカーが、そばを通ると、その波が足元を洗うので、荷物は1m高い犬走りに置くのですが、それでも釣り具を流されたことがあります。しかし、そのぐらいはまだ良い方で、シケてくると波シブキは頭からカブルし、波が波止先端を洗い、釣り竿をそっくり持っていかれた釣り人も居ました。先端の赤灯台廻りは1.5mほどの犬走りで囲まれていて、身体だけは大丈夫。ただし、そこまでの300mは波で洗われて引き返すことができない状態です。そんな釣り人が何度も海上保安庁のボートで救助され、ヘリコプターで救助される新聞記事もありました。
そんなとき夜釣りをしていた釣り人が波で流され死亡事故。そして現在は完全に釣り人シャットアウトです。
釣りをしていると警察に連行され、罰金を取られるほど厳しくなりました。
多発する近場の釣り事故、その要因は釣り人自身の問題
若松響灘、安瀬埋立地、その中央にある沖波止は30数年前から今に続く現役の波止です。
消波堤の役割をするこの波止は、全てがテトラポット。角型、ひし型、丸型テトラの三種類が組み合っており、昔は低い石積み波止でした。それが今のように二重、三重と積み重なり、高くなったことでシケに強い?
少々の波にも耐えられるようになり、釣り人はこの波止を無理して歩く釣りをするようになりました。
波止先端まで歩くと50分かかりますが、若いときは早足で35分で行けました。今では1時間かけても難しい。もっとも十年前からこの波止で釣りをしていません。テトラの波止は危険がつきものだからです。
そのような沖波止でこれまで死亡事故が三件ありました。これは私が知る限りのものです。
波止そばに無人の車が数日置きっぱなし。そして家族の捜索依頼で釣り人の釣り具が沖波止で見つかったこと。二件についてはまだ遺体が検証されていません。
テトラポットからの釣りは危険がつきものです。テトラからの釣りはもちろんですが、その行き帰りで転倒したり、つまづいたりして、テトラにはまってしまった釣り人をこれまでなんども見てきました。ケガをした友人も5人居ましが、私はこの種の事故がないのが不思議なぐらいです。
その沖波止からつながる新波止は現在、風車公園遊歩道が設置され、今もっとも人気がある釣り場です。
しかし全てがテトラポットの釣りとなります。
恥ずかしい話ですが私の大先輩と5人ほどで一緒に釣行した沖波止先端、行きの45分は釣行気分で良かったのですが、イザ釣りを始めて仲間達が酒、ビールを飲みはじめました。その中で酒好きの大先輩がイザ帰るとき、テトラから落ちて足と腕を骨折しました。それで仲間達で荷物を持ち、三人でその先輩を延々1時間以上かけてテトラの上を行進したことがあります。その後、酒をたしなむ仲間と、この波止には絶対行かないと誓いました。
自己を知り他人に迷惑をかけない釣りをする
「危険だからここでは釣りをしない!!」とか「テトラポットでは」「この波止では」と、釣り人自身が自分を知り、危険予知をはたらかせ「無理な釣りをしない」このことがもっとも大切なことです。
特に「この波止は釣れる!!」と、思い込むと、どうしても無理して竿を出してしまう。これは誰にもあるはずです。
仲間や同行者のアドバイスとか経験により判断する場面もありますが、その日、その時々をしっかり考え、危険予知をイメージしながら十分対処できる装備と心構えで安全意識を持ちながら釣りをしたいものです。
「危ないなら釣りをするな!!」とは言わないけれど、自己の判断で釣りをする以上、それは自己責任です。
そして自己責任の上で、家族や仲間や、たくさんな人々に迷惑をかけないことを、十分わきまえて、釣りを楽しんでもらいたいものですね。
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第八章 海難事故に遭遇しない釣り人の心構え
釣り仲間など多くの人々が亡くなった東日本大震災を考える その42
いつ起こるかわからない地震、そして津波。
自然災害は予告できない想定の中で、私達がどのように対応し、考えて、行動することが望ましいのでしょうか。
その災害を、どのくらいの大きさをイメージするかは、人々それぞれの情報の持ち方で、身の危険を感じるしかないのでしょうが、生死を分けた行動も、たまたまとか、偶然に、運が良かった、ではすまされ無いと想うのです。生きた延びた人々がそれぞれに語る恐怖、体験を共有して、私達は学ぶことが大切です。その上で、語り継がれている人々の教えを教訓にして、災害の対処方法、知識を受け継がなければならない!! のです。
私の親戚に千葉県銚布市と、茨城県鹿島市に住む釣り好きの従兄弟が居て少しばかりの交遊があります。
今度の災害については無事であることを確認しましたが、遠来の釣り友達の多くが被災した中にあり、いまだ行方不明の方も居ます。同じ釣り好きの仲間達が、このような大きな災害に巻き込まれてしまったことについては、励ましの言葉もみあたらないのです。
3月11日(金)、午後3時前、宮城県のある波止で、津波を察知した釣り人が逃げている様子を映像で見ましたが、津波が押し寄せて来る早さ、大きさは、人間の走る速さではとてもかなわない。アッ!という間の出来事で終わってしまったのです。同じく、津波が押し寄せ、家屋や車、そして人々をのみ込んでゆく生々しい映像が、その瞬間までとらえられていた現実には、私達の胸の中に酷く刻まれてしまったのです。そのような映像を繰り返し見ながら、私達釣り人が思いつくことは、「ライフジャケットを付けていたら助かったかも知れない!!」
5mから10mもある、大きな津波に呑み込まれた現実の中であっても、身体が水面に浮かんでいれば助かる可能性が多大あったにちがいない!! 今度の被災で亡くなった二万数千人もの人々が、もし、身の危険を感じて、救命胴衣(ライフジャケット)を着用していたら半数以上の生存者が居たかも知れない。そんなことを何度も繰り返し思ったのです。
私達釣り人が、ごく普通の釣りスタイルで、優しい海釣りを楽しんでいますが、その中で岸壁に横付けした車のそばから小さな子供達を交えたファミリーフィッシングを良く見かけることがあります。又、高い波止やテトラポットからの釣り、そして少々の荒波があっても釣りをしている釣り人の多いこと。その中でライフジャケットを着用している釣り人はほとんど居ない!! これが近場の釣りです。
ましては今度のような津波災害、事前予告が高くても2mとか3mというような緊急避難情報があり、一般的な予測とか、今までの津波経験から察知して、こんなにも大きな津波が押し寄せてきくるとは夢にも思わない現実。
今度の東日本大震災で学んだ多くの教訓は、今後に生かされるでしょうが、私達釣り人にとっては、このような自然現象を、どれだけ情報がもらえて、対応できて、命が守れるか、すごく不安です。
しかしながら、出来るだけの安全知識と備えを普段から考え、行動することを原理原則とし、釣り仲間と共有した情報を大切にして、これからの釣りを楽しみたいものです。
前置きで紹介した波止で釣りをしていた釣り人が大津波でさらわれた件、もしかして磯で釣りをしていた釣り人は、どうなっていたのだろうか? 地震が起きて、すぐさま救助に来てくれるのだろうか。高い磯、低い磯、色々あるだろうが、私達釣り人はどのようにして、この地震、津波から逃げられるのか、凄く不安です。
このような大きな地震がいつ起こるか分からない上で、私達釣り人は自然相手の釣りをしている分けで、どのような場合でもライフジャケットの着用から、それなりの装備、そしてもしかの時の避難先、救助してもらえる方法までを考えた行動パターンをシュミレーションしておきたいものです。
この東日本大震災に遭遇した、たくさんの人々に、私達釣り人は、釣具店などに置かれている稚魚放流募金箱10ヶ月分を、そのまま災害募金として贈りました。合わせて一般釣り人はもちろん、釣り団体、組織、釣り具メーカー、釣り新聞、釣り雑誌社などから総計1億円もの募金を集め、被災者に贈られたことを報告したいと思います。
又、九州磯釣連盟組織として、福岡支部の有志達がたくさんな物資をトラック、ミニバン8台で宮城県女川町に運び、被災者と直接の交流を果たした事など、釣り人ができる最大限のアクションをしたことを称えたいと思います。ありがとうございました。
ジャパニーズフィッシング文化と釣り場環境美化推進そのアジェンダ 未来へ継ぐ釣り文化、釣り場美化推進のとき |
第九章へつづく |
本文と合わせて1960年代からのポール・モーリアのmusick №1~№15までお楽しみ下さい |
大分県鶴見で50㎝チヌ
大分県鶴見で巨チヌ 私もチヌ
釣りのファン子30㎝キス
大分県米水津の磯釣り 長崎鼻から日の出
米水津杖立でクロ入れ食い
鶴見崎白浜で
北九州日明波止